未来研通信

第51回2015.03.11

MUNEKATA

Love Cars,Love People,Love Life

「悪魔のZ」のベース車両としておなじみのS30フェアレディZは、1969年10月に誕生しました。

元は、社内デザイナーによって企画されていたスポーツカー。当時の日本の市場を考えると量産は難しかったのですが、それでも市販に踏み切ることになったきっかけは、当時の米国日産の社長の強い要望によるものでした。

北米では、ドライバーが日常の足として使いつつも、ただ楽しく乗り回すことのできる自動車の市場が確立されており、北米では後発の米国日産は、その市場に向けての製品の後継機種を必要としていました。他社の製品よりはるかに安価に生産、販売できるもくろみはあったことから、北米で生き残るためには、この企画の一日も早い製品化を望んだのです。

さて、市場に出すことが決定したスポーツカーですが、北米のニーズに仕様をあわせていくことになります。快適に乗り回すために、排気量の大きなエンジンを載せ、乗員の大柄な体格も考慮しなければなりません。原価を抑えるためには、既存車種の機構を流用することになります。しかし、そのためにデザインが大きく変わっては製品価値が落ちてしまいます。

デザイナーのこだわりと、設計者の意地を、高度な次元で実現するかたちで、フェアレディZ(アメリカではDATSAN 240Z)が完成しました。

その後、S30は全米で月に数千台のペースで販売され、「世界で一番売れたスポーツカー」と評されることになりました。遅れて参入した北米で、「DATSAN」ブランドを確固たるものに成功したのです。

フェアレディZはその後モデルチェンジを繰り返し、それぞれ好評を博しますが、特にS30は、今日までの半世紀近くもの長きに渡って愛され続けました。現在も漫画やゲームで主役級の活躍を見せていることは皆さんもご存じのとおりです。

米国日産初代社長、「Mr.K」片山豊さんが先日永眠されました。ご冥福をお祈りいたします。

出展:モーターファン別冊「歴代フェアレディZのすべて」(三栄書房)他