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未来研通信

第59回

2021.03.17

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MUNEKATA

10年

むねかたです。

10年前のあの日は金曜日。その時は会社で「湾岸マキシ4」の設計の真っ最中で、打ち合わせテーブルのそばで(何についてかは忘れましたが)会社の先輩と立ち話をしていました。

あーまた地震だ。最近多いですね...今回はずいぶん長く揺れてるなー...なんて言ってたらだんだん揺れが激しくなって、訓練以外で初めてテーブルの下に潜りました。同時に先輩も机の下に潜ったので、お尻が顔を直撃してコンタクトレンズが片方外れました。

社内の人間や建物に大きな被害はなかったのですが、図面の入った棚が倒れたり、照明のカバーが外れてぶら下がったり、空調の冷却水が漏れだして非常階段が水浸しになったりしていました。

その日はもう仕事にはならず、かといって帰宅しようにも電車は運休...実はその日はこっそり車で出社していたのですが、会社の周りの道路という道路がすべてひどい渋滞で車が出せず、あきらめて会社に泊まりました。

その後も1週間出社停止で業務が止まったりしたのですが、何とか製品は完成...ところが、量産にあたり製品に使用する電源や反力モーターが手に入らない、といった事態が生じました。電源はコンデンサの電解液の工場が被災し、モーターはブラシを作る工場が被災したためです。他に換えの利かない高品質な製品が、東北の地で作られていたことを実は初めて知りました。

いろいろ困難があったのですが、何とか製品を世に出すことができました。当時は世の中が何とも重い雰囲気に包まれていたのですが、「遊び」によって、人間らしい生活を取り戻すための一助にはなれたかな、と思っています。

ここ一年も、何かと制約が多い生活が続きますが、心の栄養源である「遊び」をクリエイトしていくよう、日々精進してまいります。