第81回
2025.12.17

MUNEKATA
前回までのあらすじ
やっとのことで免許を取ったむねかた。しかし用意された車はマニュアルミッションではあるものの、リッターカーの最廉価版。オートエアコンやパワーウィンドーがついていないのはもちろんのこと、ミラーは手動のフェンダーミラー、タイヤはサイズの読み方がわからないバイアスタイヤ、なんと助手席のサンバイザーまでない。そして何より、タコメーターがないのだ。これではバイトポイントもレッドゾーンもわからないではないか。そして何より...かっこ悪!!
失意のままにふらっと立ち寄った、ボウリングのピンが屋根に鎮座するディスカウントストア。自動車用品コーナーを覗くとそこにはなんと「タコメーター」が!? 喜び勇んで購入。これでシグナルダッシュもヒールアンドトゥーもばっちりや! 早速取り付けようと説明書を読むと、そこには「この3本の配線を取り付けよ」とだけ。え、なんかセンサーとかないの? 本当にこんなのでエンジンの回転数がわかるのか? むねかたは一抹の不安に駆られるのであった...
むねかたです。...えーと何の話でしたっけ? あ、タコメーターの仕組みでしたね。エンジンに何かセンサーを付けることなくエンジンの回転数がわかるのはなぜか、それは、エンジンから発せられる電気的なノイズを計測し、そこから回転数を割り出しているからなんですね。

4気筒エンジンの点火系を簡易的に示しました。
点火コイルは、1次側に電流を流し、回路中の接点を開けると2次側に何万ボルトという大きな電圧がかかって点火プラグに火花が飛びます。接点はクランクシャフトまたはカムシャフトに直結したカムによって開閉します。これによりエンジンの回転に同期して点火コイルは放電します。4サイクルエンジンは1気筒の場合2回転で1回放電するので、4気筒では2回転で4回=1回転で2回放電することになります。

点火コイルは1次側でも大きなノイズを発するので、このノイズが1秒間に何回入力されたかを測定することで回転数がわかります。カウンター回路で数値化するなり、F-V回路で電圧に変換して電圧計で読み取るなりで回転数を読み取るわけです。
本来ならノイズは電子回路の大敵なので徹底的に対策するのですが、そのノイズが定期的に発生することを利用して回転数の測定にするというのは面白い仕組みですね。
え、まともな半導体のないころはどうしていたか? 点火プラグのないディーゼルエンジンはどうするのかだって? えーとそれは...お、バイトの時間だ。それはまた次の機会に(いつだ?)
それではまた次回お会いしましょう。ではー。
